システム名 | 埼玉県立文書館収蔵資料検索システム |
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機関名 | 埼玉県立文書館 |
導入年月 | 2011年11月 |
URL | http://www.monjo.spec.ed.jp/ |
システムの概要 | 埼玉県立文書館では、収蔵資料の目録データ検索サービスをクラウドで提供しています。資料ごとにデータベースを分けて構築したうえで横断検索を可能としているほか、国立公文書館からの横断検索にも対応しています。 検索した資料の利用票や複写申込書を印刷することもでき、利用者へのスムースな資料提供を実現しています。 |
導入インタビュー
埼玉県立文書館 公文書・地図センター
(左)菅野(スガノ)氏
(右)担当部長 栁澤(ヤナギサワ)氏
文書館として、先進的にクラウドを活用
埼玉県立文書館の成り立ちやミッションについてお聞かせください。
一言で言えば「県民共有の財産の保存」です。
当館は昭和44年4月に県立浦和図書館の一部として設立されました。
昭和50年に文書館となり、昭和58年に現在の建屋が完成し、移転しました。
地上4階地下2階、保存庫には国の重要文化財である「埼玉県行政文書」なども保存しております。
文書館の特色についてお聞かせいただけますでしょうか。
【菅野氏】
所蔵する資料としては、公文書、古文書、地図等があります。
当館には地図センターがありますが、地図に特化した機能がある文書館は全国を見ても当館のみではないでしょうか。
【栁澤氏】
資料内訳としては、行政文書17万点以上、古文書38万点以上、地図7万点以上、参考図書6万点以上(市町村史、大学の報告書、寄贈図書など)、その他、行政刊行物(県政における計画書、報告書など)、県史編さん資料となります。
「収蔵資料検索システム」構築時のポイントについてお聞かせください。
【埼玉県立文書館】
「利用しやすいシステム」であることが、最も重視したポイントです。
利用しやすいシステムを構築するにあたり、要件として重視すべきポイントを、管理者側で二つ、利用者側で二つ、合計四つを設定しました。
管理者側の一つ目は、登録・修正に掛かる時間が少ないこと。二つ目は、クラウドサービスを使用するため、セキュリティがしっかりしていることです。
利用者側の一つ目は、他館との横断検索が可能であること。二つ目は、収蔵資料種別毎の検索が可能であることです。
クラウドの最大のメリットはセキュリティ面
2011年のシステム調達当時では、行政機関で自分たちの資料を外に出すというような考えはまだ少なかったかと思いますが、どのようにお考えになりクラウドを選択されましたでしょうか。
【栁澤氏】
様々なメリットがありますが、一番のメリットはセキュリティ面だと感じています。
最近は様々なセキュリティ上の脅威が頻出しているので、サーバを専門のIT企業が管理し、セキュリティの最新機能が提供されるメリットは非常に大きいです。
またクラウドにすることで、全体的なコストも下がりました。
検索システムでデータベースが細かく分かれていますが工夫やこだわりについて教えてください。
【菅野氏】
当館の利用者は、探したいもの、目的がはっきりしている場合が多いので、資料種別ごとにデータベースが分かれている方が都合が良いのです。
また、そのために検索漏れが無いように、全データベースの横断検索により対応しています。
確かに、一度に広範囲のデータを検索できるようにすると、必要でない情報も出てきてしまいます。これを検索ゴミと言いますが、検索ゴミが多いとストレスになりますね。
その問題を解消しつつ、発見漏れが無いように横断検索の仕組みでクリアされたというわけですね。
運用の変更も問題なし
2012年2月より現在のシステム運用が始まりましたが、途中、担当者も変わって運用の変更などはございましたか。
【菅野氏】
導入当初はデータベースの更新作業を1人で行っていましたが、現在は複数の担当者で資料種別ごとにデータの登録・更新等の管理を行っています。
それにより業務負荷の分散はもちろん、ノウハウを分散共有できました。
提供されたマニュアルがあれば操作できるという、システムの使いやすさがあればこそ実現できたことだと思います。
一方、複数担当者がデータの更新を行うためデータが意図せずいじられてしまうというリスクがありますが、運用としてデータ更新に使った個別のデータベースのExcelファイルを残す形で全て一元管理しており、いざとなればバックアップから戻せるようにしています。
また、Excelデータは現在のシステム稼働後のものは全て残しているので、どの時点でデータがおかしくなったかを調べることも可能です。
ずっと残していくとデータ容量の問題も出てきますが、画像データと違い、容量もそんなに大きくないため、現状は問題になっていません。
担当者の変更は今年度からなのですが担当分散を始めた時には、インフォコム株式会社のサポートグループの方によく電話して対処していただきました。
国立公文書館との連携
現在「収蔵資料検索システム」ではたくさんのデータベースを公開されていますが、システムとしての特長やアピールポイントは何でしょうか。
【栁澤氏】
一番大きな特長は、国立公文書館との連携ではないかと思います。
当館が実現したことを契機に、その後、他の公文書館でも連携が進んでいったと聞いております。
あとは来館者がインターネットで事前に資料を調べることができ、その利用票や複写申込書を前もって印刷できるため、来館時にスムースに資料を提供することができています。
利用票や複写申込書の印刷部分はカスタマイズさせていただいた部分ですね。
現在、他の機関でも帳票系のニーズは多くなっています。
そこで今回、クラウドのバージョンアップを行った際に、標準機能でも検索結果を印刷できるようにさせていただきました。
残すこと、利活用のために粛々と
今後の展開について基本的な方針などあればお聞かせください。
【栁澤氏】
よりわかりやすい検索を目指しています。
例えば、「高橋」さんと「髙橋」さん、「山崎」「山﨑」「山嵜」の色々な「ヤマザキ」さんなどの異体字の検索に対応するなど、工夫やノウハウなど探っていきたいと思っています。
異体字検索は、機能としては有しています。しかし、元となる辞書データをどのようにするかはご相談ですね。
例えば、意図をもって誘導したい場合と、利用者の意図を優先する検索の場合や漢字によって意味が変わる内容など、専門分野になればなるほどこの議論は必要になってきます。
【栁澤氏】
粛々と、検索から意図されるものが導き出せるようにデータベースを作っていきたいと思っています。
動きの速さも重視
インフォコムへの要望などお聞かせください。
【栁澤氏】
以前のシステムに比べれば圧倒的に早いですが、お客様が急いでいたりする時は「もう少し早ければ」と思う時が時々あります。クラウドなので、ネットワークに依存する部分もあると思いますが。
検索速度はサーバの性能等で改善できる部分もありますが、画像に関してはネットワークと端末の性能に依存してしまいます。
画面のレイアウトで画像が多い場合など、予めサムネイルを作っておくことで、かなり体感速度を上げることができます。こういったコツもご提案させて頂ければと思います。
危機管理の面でもクラウドの果たす効果は非常に大きい
【栁澤氏】
他のシステムを見てもクラウドは主流だと思います。費用もセキュリティもよいので助かります。
また、3.11の東日本大震災を契機に、情報のバックアップ、危機管理の面でもクラウドの果たす効果は非常に大きいと感じています。
サポートに関しては、先ほども話に出ましたが、担当者が定期的に替わっていきます。
担当者が替わると、誰もわからないので何でも聞いてしまう。小林さん(インフォコム担当者)にもいろいろ聞いてしまったが、すぐに教えて頂いてありがたいです。
今後もくだらないことを質問してしまうこともあるかと思いますが、フォローしてもらえればと。IT専門用語もわからない、詳しい方に聞いて正しいのかなど確認したいと思ったときに、ここに載っていますよと教えてもらえれば勉強もできるし、再確認することもできますしね。
今後も様々なメリットを感じて頂けるよう、提案やサポートを継続していきたいと思います。
本日は大変にありがとうございました。
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