システム名 | 赤十字原子力災害情報センター デジタルアーカイブ |
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機関名 | 日本赤十字社 赤十字原子力災害情報センター |
導入年月 | 2013年10月 |
URL | http://ndrc.jrc.or.jp/ |
システムの概要 | 原子力災害に関する情報を収集、蓄積、発信するデジタルアーカイブ。 日本赤十字社が3.11で発生した福島第一原発事故の救護活動の教訓を記録し、 今後の赤十字社活動のためのガイドライン策定を目的に構築した。 |
システム導入インタビュー
日本赤十字社が東日本大震災における救護活動の教訓を活かすために組織した機関
「赤十字原子力災害情報センター」はどのような経緯で組織された機関ですか?
日本赤十字社(以下、「日赤」)は、2011年3月11日の東日本大震災において様々な救護活動を行いました。しかし、福島第一原発事故による原子力災害下での救護活動は日赤としても初めての経験でしたので、活動に必要な装備や行動基準が整備されておらず、また原子力災害に対する知識も不足していたため十分な救護活動を行うことが困難でした。
これを教訓とし、今後不幸にも同じような事故が起きてしまった時に適切な救護活動を行うための基準の策定や、知識の集約、また3.11の経験を蓄積しておく必要があると考え、2013年10月1日に「赤十字原子力災害情報センター」を設置し、現在様々な活動を展開しているところです。
手探りから始めたデジタルアーカイブ
「赤十字原子力災害情報センター」構想時からデジタルアーカイブ運営も想定されていたのでしょうか?また当時の課題があればお聞かせ頂けないでしょうか?
日赤では3.11の1年後には原子力災害時の対応について考える組織が立ち上がっていました。当時は震災自体も収束していませんでしたし、福島県においてはどれほど被害があるのか、今後どのようなことが起こるのか全く不透明な状況でした。その状況の中で活動するためにも、原子力災害下における救護活動のガイドラインが必要だろうと結論づけました。
ガイドライン策定のためには日赤の活動を整理し、課題をまとめる必要がありましたし、その情報を収集・蓄積しアーカイブ化すべきだろうという考えは当初からありました。
しかしシステム的な知識はもっていなかったため、最初はホームページとアーカイブの違いも分からずに動き出していました。データをPDFファイルで保管しておき、それを図書館のシステムのように誰でも見ることができればよいのだろう程度に考えていました。データに関しても、社内の報告書が徐々にデジタル化されていた時期でしたが、それらがどの程度の量になるか、どの程度公開できるかもわからない状況でした。
求めたのは実績と自由度の高いシステム。パートナーとして事業に参加してもらえる企業。
日赤初となるデジタルアーカイブの構築に当社のシステムを選んで頂いた理由をお聞かせ頂けないでしょうか?
繰り返しですが、日赤がはじめて構築する「デジタルアーカイブ」でしたので、アーカイブシステムの構築実績のある企業にお願いしたいと考えていました。
そこでプロポーザル入札の形式を採用し、構築実績のある企業に提案してもらい、それを総合的に判断することにしました。評価ポイントとしては価格よりも実績と提案内容を重要視させてもらいました。また当時センターの専従職員がいない状態でしたので、一構築業者というよりは、一緒に事業を進めて頂けるパートナー企業を求めてもいました。
インフォコムさんは提案頂いたときに「東日本大震災アーカイブFukushima」を構築されていたので実績の評価は高かったです! またバックアップ体制の充実も高評価でした。加えて、自由度の高いパッケージを持っている点も良かったですね。当時はアーカイブをどのような形にしていくかが定まっていない時期でしたので、私どもの意見を聞いて、それを反映できる仕組みであることを重要視しました。
同じ方向を向いていた仲間
システム構築を進める中で、当社の動きとして印象に残っていらっしゃる場面等ありましたら教えていただけますか?
システム構築も含めて、この事業は皆が同じ方向を向いていたのだと思います。単に営利目的だけではなく、東日本大震災、そして福島の事故に対して何か貢献できるものを作り上げたいという想いがあったからだと思います。また皆さん同世代だったことが大きかったのかもしれません。はじめから業者さんという感覚はなくて、仲間として一緒に事業を進めることができたように思えます。
そしてインフォコムさんは基本的に無茶なことを言われたとしても、「検討してみます!」、「いいですね。」という言葉を言っていただけたので、相談しやすかったですし、回答や動きも早かったですね。私どもはシステムの専門家ではなかったので、本当に言葉尻、1つから教えてもらいましたね。
これからの赤十字原子力災害情報センターの向かう先
システム導入から1年になろうとしていますが、ここまでの想いをお聞かせ頂けないでしょうか?
当時は福島の原子力災害も継続している状況でしたので、アーカイブを公開することで批判されるかもしれないとも考えました。正直、恐る恐る始めた事業でした。ですが公開してみると苦情や現地の方々からの問い合わせはほぼありませんでした。逆に「よくぞやってくれた!」という評価を頂きました。
日赤ができなかったことを記録し、それを課題として認識し、次に繋げる取り組みに対して評価が高かったようです。これに勇気づけられて現在では890ものコンテンツがアーカイブに登録されており、ほぼ全てが公開されています。構築当初は情報を蓄積するという観点が強かったですが、今はユーザにどのように見せるか、見て頂くかという観点が強くなっています。
また想定ユーザも構築当初は国内の研究者・救護団体・国内外の赤十字社関係者といった方々を考えていましたが、今はもう少し一般の方々の目線に立って、活用できるようなシステム・情報にしていくべきではないかと考えています。どちらかに偏るよりも、様々な方に活用できるようなシステムにしていきたいと思っています。
構築時に考えていた事業よりも幅広く展開できており、良い方向に進んでいるな、と思っています。デジタルアーカイブの構築により、情報が半永久的に保存できるようになったということは大変良かったと思っています。日赤として守り続けていく財産です。
最後にお客様からのPRがあればお願いいたします。
日赤は救護団体ですので、このような災害に関する救護事業は、これからもさらに進めていくことになるでしょう。そのためには皆様方からのご支援が必要となります。事業・活動資金の他、支援やボランティアといった人的な支援についてもご協力を頂ければと思っています。
また福島ではいまだ原子力災害が収まっておりません。私どもとしてはこのような状況の中で被災されている方々に対して、今後もセンターの事業を担ってくれている皆様と一緒に様々な形で貢献できればと思っています。
本日は誠にありがとうございました。【インフォコム】
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