第2回 『デジタルアーカイブの本100冊』
1 デジタルアーカイブでMLAをつなぐ本 |
【ミュージアムの本】 |
【ライブラリーの本】 |
【アーカイブズ(文書館)の本】 |
【デジタル・メディア関係の本】 |
【権利関係の本】 |
[雑誌] |
2 「100冊」の選出を終えて |
1 デジタルアーカイブでMLAをつなぐ本
文理融合の身体感覚を持つ巨星といえばレオナルド・ダ・ヴィンチだが、
ダ・ヴィンチがもし生きていたらデジタルアーカイブをどう評するだろうか。
人類の生み出した情報資産を先端技術により記録し広め、後世に残すという日本で誕生した新たな価値観は、
文化と文明とをほぼ同義に用いる感性を持ち合わせた日本人ならではの所産である。
誕生して15年経ったデジタルアーカイブの歴史に続き、今回はデジタルアーカイブのアナログ記録であるところの本を取り上げる。
多分野に広がりを見せているデジタルアーカイブについて調べようと思ったとき、どこから着手してよいのか迷うときがある。
今までデジタルアーカイブという用語は概念の普及を優先し、意味・意義が整理されずに使われてきたうえ、
デジタルアーカイブは情報技術の進歩と共に現在も拡大、深化している。そのためデジタルアーカイブの本を的確に探すのは案外難しい。
『デジタルアーカイブの本100冊』は、この世界を一望できる1985-2010年に出版されたブックガイドである。
美術関係が多くいささか選書に偏りがあるかもしれないが、デジタルアーカイブの全体像が把握できるよう心掛けた。
書籍の100冊は、デジタルアーカイブをこれから学ぼうとする学生から既にデジタルアーカイブに関った仕事をしているスペシャリストまで
幅広い読者を対象として、デジタルアーカイブの構築から運用まで、概念や技術、法律などをカバーしている。
リストアップした本は、いわゆるMLAの【ミュージアム】【ライブラリー】【アーカイブズ(文書館)】と【メディア関係】【権利関係】に分類し、
それぞれ五十音順に列記した。雑誌については、デジタルアーカイブについて掲載している雑誌名を載せている。記事の形態はさまざまだが、
「雑誌名」と「アーカイブ」をインターネットで同時に検索することで、デジタルアーカイブに関連した記事にたどり着くことができる。
分類を手掛かりとして役立ててもらいたい。また、リストアップした書籍全体を俯瞰できるよう図にも表したので、併せて参考にして頂きたいと思う。
【ミュージアムの本】
1.『アートとコンピュータ――新しい美術の射程』藤幡正樹,1999,慶應義塾大学出版会
メディア・アーティストのトップランナーでもある藤幡教授が描くデジタルとアートの近未来像。
2.『アビ・ヴァールブルク――記憶の迷宮』田中純,2010,青土社
イメージによりMLAの領域をつなぐ思考法は美術史学や図像学などに大きな影響を与えた。
3.『イコノグラフィー入門 』ルーロフ・ファンストラーテン/鯨井秀伸訳,2002,ブリュッケ
西洋の古典絵画を解読するための図像分類方法など図像学全般を平明に解説。
4.『画像ドキュメンテーションの世界』波多野宏之,1993, 勁草書房
画像資料及び画像情報の蓄積、検索・利用の研究者必読の書。
5.『記憶のゆくたて――デジタル・アーカイヴの文化経済』武邑光裕,2003,東京大学出版会
精緻な論証を基に、人類の記憶と記録の様式の変遷を示し将来のデジタル文明を俯瞰的にイメージさせる。
6.『講座日本美術史 第1巻 物から言葉へ』佐藤康宏編,2005,東京大学出版会
光学的手法による絵画の情報取得から作品のドキュメンテーションを考察など。
7.『コンピュータ民族学』杉田繁治,1997,共立出版
人文科学におけるコンピュータ利用の視点からMLAの区別のないデジタル・ミュージアムを展望。
8.『縮小文明の展望――千年の彼方を目指して』月尾嘉男,2003,東京大学出版会
宇宙論のスケールで多神教的宗教観と「多様で少量」を実現するIT技術が拓く新時代の文明論。
9.『真贋のはざま――デュシャンから遺伝子まで』西野嘉章編,2001,東京大学総合研究博物館
本物と偽物の概念を問いただし同時に「ニセモノ」の効用を考える。
10.『増補 絵画史料で歴史を読む』黒田日出男,2007,筑摩書房
作品として鑑賞する絵画ではなく、史料として読み解く視点が新しい。
11.『デジタルアーカイブにおける「資料基盤」統合化モデルの研究』研谷紀夫,2009,勉誠出版
文化遺産のデジタルアーカイブ構築の基底を探る論考。
12.『デジタル技術とミュージアム』国立西洋美術館編,2002,勉誠出版
美術館とデジタルアーカイブに関わる論考を広範囲から集約。
13.『デジタルコンテンツと絵画』行田尚義,2000,森北出版
絵画のエンジニアリングと、新しくアート・コミュニケーション学を提示した書。
14.『デジタルミュージアム 電脳博物館――博物館の未来』坂村健編,1997,東京大学総合研究博物館
「オープンミュージアム」をコンセプトに開催した展覧会の図録。
15.『デジタルミュージアム2000』坂村健編,2000,東京大学総合研究博物館
博物館のあらゆる活動にデジタルテクノロジーを駆使した展覧会の図録。
16.『デジタル・メディア・ルネッサンス――バーチャル・ワールドとアートの潮流』志賀厚雄,2000,丸善
デジタル革命の中心地アメリカ西海岸からの体験レポート。
17.『電子美術論』伊藤俊治,1999,NTT出版
電子空間における共同性の中に新しく創造の場の可能性をさぐる。
18.『日本文化の模倣と創造――オリジナリティとは何か』山田奨治,2002,角川書店
独創と再創の視点から文化に関わるコピーについての考察。
19.『博物館情報学入門 (アート・ドキュメンテーション叢書2)』E.Orna & Ch.Pettitt著/安澤秀一監修/水嶋英治編訳,2003,勉誠出版
情報学の観点からミュージアムの情報資源の有効利用を論じる。
20.『美術館革命』美術館メディア研究会編,1997,大日本印刷
身近な美術館とは何か、変容する美術館の未来像を予測する。
21.『美術館の誕生――美は誰のものか』岩淵潤子,1995,中央公論社
公共としての美術館を歴史と海外の事例から考える。
22.『美術館はどこへ?――ミュージアムの過去・現在・未来』暮沢剛巳,2002,廣済堂出版
美術館の本質を設立と発展の経緯からとらえ21世紀の美術館のを予測。
23.『ミュージアムと記憶――知識の集積/展示の構造学』スーザン・A・クレイン/伊藤博明訳,2009,ありな書房
ポスト・ミュージアムの構造をミュージアムと個人の相互作用とする記憶の場から考察。
24.『文化遺産情報のData ModelとCRM(アート・ドキュメンテーション叢書1)』ICOM CIDOC 編/鯨井秀伸編訳,2003,勉誠出版
博物館資料情報のための国際標準CIDOC CRMの基本と仕組みの解説。
25.『名画を読み解くアトリビュート』木村三郎,2002,淡交社
西洋古典絵画の基本的な見方となる図像学の入門書。
26.『文化財アーカイブの現場から 前夜と現在、そのゆくえ』福森大二郎,2010,勉誠出版
文化財アーカイブの実践を通してその現状と問題点を平明にまとめた書。
27.『Light&Color――絵画表現の深層をさぐる』井出誠之輔・山梨絵美子・城野誠治/東京文化財研究所編,2009,中央公論美術出版
肉眼では見えない絵画のミクロな表情と光と物質の関係を高品質な拡大画像でさぐる。
【ライブラリーの本】
28.『浦安図書館にできること――図書館アイデンティティ』常世田良,2003,勁草書房
図書館館長が公共図書館で実践してきた20年の地域貢献の記録とその思考。
29.『資料保存の調査と計画』安江明夫監修,2009,日本図書館協会
プリザベーション進展のために編集された事例論文集。
30.『情報アクセスの新たな展開』日本図書館情報学会研究委員会編,2009,勉誠出版
情報検索サービスの現状と今後の展望についての論文集。
31.『情報検索入門ハンドブック データベース、Web、図書館の利用法』松本勝久,2008,勉誠出版
情報検索の歴史や基礎的な考え方と情報の利用法。
32.『続・情報基盤としての図書館――図書館の現場』根本彰,2004,勁草書房
電子図書館の話題を交え、あるべき姿を示す。
33.『だれのための電子図書館?』津野海太郎,1999,トランスアート
1990年代における電子図書館と公共図書館についての議論掲載。
34.『知の編集術』松岡正剛,2000,講談社
情報を編集する上で参考となる思考のレッスン法。
35.『デジタル時代における図書館の変革 課題と展望』国立国会図書館総務部企画課編,2006,国立国会図書館
将来の図書館についての公開シンポジウムの記録集。
36. 『デジタル知識社会の構図――電子出版・電子図書館・情報社会』合庭惇,999,産業図書
文化施設のデジタル化の実態を探りながら情報社会の現在と未来を考える。
37.『図書館・アーカイブズとは何か (別冊「環」15) 』粕谷一希・菊池光興・長尾真ほか,2008,藤原書店
全国の現場の声を収録し図書館・アーカイブズの未来を探る。
38.『図書館文化史 (図書館情報学の基礎)』水谷長志,2003,勉誠出版
情報を扱う司書のための基本となる一冊。
39.『図書館目録とメタデータ』日本図書館情報学会研究委員会編,2004,勉誠出版
拡大深化する目録とメタデータその理論的展開と新たな実践的試みの検証。
40.『電子図書館』(岩波科学ライブラリー)長尾真,1994,岩波書店
電子図書館研究の第一人者が語る電子図書館の現状と将来の展望。
41.『電子図書館』原田勝・田屋裕之編,1999,勁草書房
国立国会図書館が目指す電子図書館像の記録。
42.『電子図書館――デジタル情報の流通と図書館の未来』日本図書館情報学会研究委員会,2001,勉誠出版
情報流通の変化と電子図書館構築への取組みとその課題。
43.『本の未来』富田倫生,1997,アスキー
情報伝達のためのメディアである本がインターネットに溶け出していく。
44.『本の未来はどうなるか――新しい記憶技術の時代へ』歌田明弘,2000, 中央公論新社
膨大な文書を回遊するハイパーテクスト技術と最新技術が織りなす記憶装置の形をさぐる。
45.『未来をつくる図書館――ニューヨークからの報告』菅谷明子,2003,岩波書店
市民が主役の情報インフラをレポート。
46.『メタデータの現在』谷口祥一,2010,勉誠出版
情報資源の組織化に向けたメタデータの設計から提供までの流れを具体的に示す。
【アーカイブズ(文書館)の本】
47.『アーカイブ辞典』小川千代子・大西愛・高橋実,2003,大阪大学出版会
文書館の世界を平明な文章で解説。
48.『アーカイブズ情報の共有化に向けて』国文学研究資料館(アーカイブズ研究系)編,2010,岩田書院
アーカイブズがもつ情報を共有する意義や情報共有のあり方を考察。
49.『アーカイブズとアーカイバル・サイエンス――歴史的背景と課題』青山英幸,2004,岩田書院
アーカイブズの歴史的背景からデジタル社会における集合的記憶の論考を集成。
50.『アーカイブズの科学』国文学研究資料館史料館編,2003,柏書房
アーカイブズ学を体系化した上巻・下巻の大冊。
51.『アーカイブズへの眼――記録の管理と保存の哲学』大濱徹也,2007,刀水書房
アーカイブズの使命と哲学の論考。
52.『アーカイブを学ぶ――東京大学大学院講義録「アーカイブの世界」』小川千代子・阿部純・大川内隆朗・鈴木香織・研谷紀夫,2007,岩田書院
文書館界のアーカイブについて基礎的な事項を解説。
53.『アジアのアーカイブズと日本――記録を守り記憶を伝える』安藤正人,2009,岩田書院
戦争とアーカイブズ「地域に足を世界に目を」という考え方により記憶を守り伝えて行く論考。
54.『記録史料記述の国際標準』アーカイブズ・インフォメーション研究会編訳,2001,北海道大学図書刊行会
国際文書館評議会が定めた記録史料記述の国際標準に関するドキュメントと報告論文。
55.『建築記録アーカイブズ管理入門』国際アーカイブズ評議会(ICA)建築記録部会編 /安澤秀一訳,2006,書肆ノワール/美学出版
建築資料管理の理論と実務をまとめた専門書。
56.『情報歴史学入門』後藤真・田中正流・師茂樹,2009,金寿堂出版
日本史学を学ぶ学生などに情報やデータベースの利用法などを示す。
57.『史料館・文書館学への道――記録・文書をどう残すか』安澤秀一,1985,吉川弘文館
史料館・文書館学における記録、文書の保存・利用についての紹介と新たな史料保存・管理学の提唱。
58.『デジタル・アーキビスト概論』谷口知司・後藤忠彦,2006,日本文教出版
デジタル・アーキビストの職種、その技能や知識を解説。
59.『デジタル時代のアーカイブ』小川千代子,2008,岩田書院
デジタルとアーカイブの出会いによる現状と課題。
60.『電子記録のアーカイビング』小川千代子,2003,日外アソシエーツ
各国の電子記録の状況を伝え、長期保存についての問題を提唱。
61.『日本のアーカイブズ論』全国歴史資料保存利用機関連絡協議会編,2003,岩田書院
記録史料学の理論と技法を開くための基本書。
62.『日本の公文書―― 開かれたアーカイブズが社会システムを支える』松岡資明,2010,ポット出版
新聞記者の体験的アーカイブズ論。
63.『入門・アーカイブズの世界――記憶と記録を未来に翻訳論文集』記録管理学会・日本アーカイズズ学会編, 2006, 日外アソシエーツ
海外の優れた記録管理やアーカイブズ論文によりアーカイブズの歴史と未来を展望。
64.『文化情報学――人類の共同記憶を伝える』安澤秀一・原田三郎編著,2002,北樹出版
無文字社会から現代のデジタル社会まで社会的集合記憶の発展を論究。
65.『歴史知識学ことはじめ』横山伊徳・石川徹也編著,2009,勉誠出版
歴史学・史料学・情報学を融合し、歴史知識の共有と活用を提案。
【デジタル・メディア関係の本】
66.『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』濱野智史,2008,NTT出版
日本のウェブサービスの固有性に着目しながらウェブを対象とした社会分析を行う。
67.『ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる』梅田望夫,2006,筑摩書房
不特性多数無限大に向けたウェブ世界の解説書。
68.『学術情報サービス――21世紀への展望』国立情報学研究所監修,2000,丸善
コンテンツやコレクティング行動から考察する将来の電子図書館。
69.『原典メディア環境 1851-2000』月尾嘉男・浜野保樹・武邑光裕,2001,東京大学出版会
メディアに関する論文を一元的に集約・編集。
70.『情報技術と経済文化』今井賢一,2002,NTT出版
コンテンツによるコミュニケーションを考察。
71.『情報メディア学入門』伊藤俊治編,2006,オーム社
情報メディアの歴史と電子メディアの未来像。
72.『世界最大デジタル映像アーカイブINA』エマニュエル・オーグ/西兼志訳,2007,白水社
フランスの映像アーカイブの歴史と未来を展望。
73.『第三の眼――デジタル時代の想像力』港千尋,2001,廣済堂出版
人間の知覚と記憶の謎を探究。
74.『ディジタルカラー画像の解析・評価』三宅洋一,2002,東京大学出版会
色画像の基本となる問題についての基礎と評価。
75.『デジタルアーカイブ 「先導的アーカイブ映像制作支援事業」報告』通商産業省機械情報産業局新映像産業室監修,1999,ニューメディア
1990年代におけるデジタルアーカイブ最前線その課題と将来展望。
76.『デジタルアーカイブの構築と運用――ミュージアムから地域振興へ』笠羽晴夫,2004,水曜社
デジタルアーカイブを概観した基本書2010年夏改訂版刊行の予定。
77.『デジタルアー カイブ白書2005』デジタルアーカイブ推進協議会編,2005,デジタルアーカイブ推進協議会
MLAのWebサイト調査報告や各種事例など全国のデジタルアーカイブ状況がわかる。
78.『デジタル・アーカイブ要覧』後藤忠彦監修,2007,教育評論
広がるデジタルアーカイブの領域を担う人材育成を考える。
79.『デジタル情報クライシス』中島洋,2005,日経BP企画
情報管理におけるマイクロフィルムの有効性を解説。
80.『ビジュアル情報処理――CG・画像処理入門』CG-ARTS協会編,2006,CG-ARTS協会
CGや画像処理を初めて学ぶ人に向けた入門書。
81.『不完全な現実――デジタル・メディアの経験』藤幡正樹,2009,NTT出版
パラレル・リアリティのもとにデジタルメディアの可能性を探究したエッセイ集。
82.『複製技術時代の芸術』ヴァルター・ベンヤミン/佐々木基一編,1999,晶文社
複製芸術の可能性を展望する先駆的映像芸術論。
83.『文化資料と画像処理』山田奨治,2000,勉誠出版
文化研究で取扱う資料の画像処理技術、その基礎と応用。
84.『メディアと芸術――デジタル化社会はアートをどう捉えるか』三井秀樹,2002,集英社
メディアの歴史を見ながらデジタル技術がもたらした芸術と人間の感性を考える。
85.『メディア文化論――メディアを学ぶ人のための15話』吉見俊哉,2004,有斐閣
メディア理論の基礎を平易な文体で書いたメディア入門書。
86.『メディア論的思考――端末市民の連帯意識とその深層』桂英史,1996,青弓社
ネットワーク社会に生きる端末を操作する市民メディアを通して知の在り方を考察。
【権利関係の本】
87.『クリエイティブ・コモンズ――デジタル時代の知的財産権』クリエイティブ・コモンズ・ジャパン編,2005,NTT出版
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの詳細を解説し情報共有の方法を探る。
88.『コモンズ――ネット上の所有権強化は技術革新を殺す』ローレンス・レッシグ/山形浩生訳,2002,翔泳社
コントロールするべきものとするべきでないものを定義しインターネットでの所有権のあり方をさぐる。
89.『情報の私有・共有・公有――ユーザーからみた著作権』名和小太郎,2006,NTT出版
ユーザーの立場に立った著作権制度を考える。
90.『情報メディア法』林紘一郎,2005,東京大学出版会
インターネット時代のあるべき法体系を法と経済の視点から提言。
91.『知的財産権事典 第3版』半田正夫・牧野利秋・盛岡一夫・角田政芳・三浦正広編,2007,丸善
知的財産権の全体像を一望できる。
92.『著作権とは何か――文化と創造のゆくえ』福井健策,2005,集英社
著作権の基礎や考え方を実例を挙げて解説し著作権と文化の関わりをさぐる。
93.『著作権の考え方』岡本薫,2003,岩波書店
一億総クリエーター、一億総ユーザー時代の著作権を考える。
94.『著作権の世紀――変わる「情報の独占制度」』福井健策,2010,集英社
著作物の独占と共有のバランスや豊かな芸術文化が育まれる制度を問う。
95.『著作権法』中山信弘,2007,有斐閣
著作権法の体系的解説書。
97.『デジタル・コンテンツ著作権の基礎知識』金井重彦,2007,ぎょうせい
デジタル・コンテンツに関する著作権の問題について判例を挙げ基本的事項を解説。
96.『ディジタル著作権――二重標準の時代』名和小太郎,2004, みすず書房
電子環境の著作権を要点とし、著作権制度の近未来の姿を予測。
98.『「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック』中村俊介監修,2006, 翔泳社
著作権の基礎知識から正しい著作物の使い方までQ&A形式で解説。
99.『CODE――インターネットの合法・違法・プライバシー』ローレンス・レッシグ/山形浩生・柏木亮二訳,2001,翔泳社
サイバー法を知る一冊。
100.『CODE Version 2.0』ローレンス・レッシグ/山形浩生・守岡桜訳,2007,翔泳社
サイバー法を記した前作『CODE』の改訂版事例を一新。
[雑誌]
■ミュージアム
「アート・ドキュメンテーション研究」アート・ドキュメンテーション学会
「アート・ドキュメンテーション研究フォーラム : 第1回. 美術情報と図書館:報告書」アート・ドキュメンテーション学会
「アート・ドキュメンテーション研究フォーラム : 第2回.美術情報の明日を考える:報告書」アート・ドキュメンテーション学会
「アート・ドキュメンテーション研究フォーラム : 第3回. 国際シンポジウム : 東アジアにおける美術・文化財情報のネットワーク化を考える: 報告書」アート・ドキュメンテーション学会
「アート・ドキュメンテーション研究フォーラム : 第4回.日本のアート・ドキュメンテーション―20年の達成 MLA連携の現状、課題、そして将来 予稿集+資料編」アート・ドキュメンテーション学会
「月刊文化財」第一法規
「シンポジウム:フランスにおける美術情報の普及と専門教育―報告書」アート・ドキュメンテーション学会
「博物館研究」日本博物館協会
「美術研究と情報処理―コンピューターによる画像・文献処理はどこまで可能か―」日仏美術学会編,1987,日仏美術学会
「文化資源学」文化資源学会
「文化庁月報」文化庁
「保存科学」国立文化財機構東京文化財研究所
「埋文写真研究」埋蔵文化財写真技術研究会
「Booklet 07 アート・アーカイヴズ/ドキュメンテーション――アート資料の宇宙」慶應義塾大学アート・センター
「Cultivate」文化環境研究所
「DOME」日本文教出版
「JMMA」日本ミュージアム・マネージメント学会
「MUSEUM」中央公論事業出版
■ライブラリー
「カレントアウェアネス」国立国会図書館
「季刊 本とコンピュータ」大日本印刷株式会社ICC本部
「現代の図書館」日本図書館協会
「国立国会図書館月報」国立国会図書館
「国立国会図書館資料デジタル化の手引き」国立国会図書館
「専門図書館」専門図書館協議会
「ディジタル図書館」「ディジタル図書館」編集委員会
「図書館界」日本図書館研究会
「図書館雑誌」日本図書館協会
■アーカイブズ(文書館)
「アーカイブズ」国立公文書館
「アーカイブズ学研究」日本アーカイブズ学会
「レコード・マネジメント」記録管理学会
「行政&ADP」行政情報システム研究所
「記録と史料」全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
「JHKダイレクトリ」情報保存会
■デジタル・メディア関係
「映像情報 Industrial」産業開発機構
「映像情報メディア学会誌」映像情報メディア学会
「画像電子学会誌」画像電子学会
「画像ラボ」日本工業出版
「季刊InterCommunication 」NTT出版
「月刊IM」日本画像情報マネジメント協会
「視聴覚教育」日本視聴覚教育協会
「情処研報」情報処理学会
「情報管理」科学技術振興機構
「情報処理」情報処理学会
「情報知識学会誌」情報知識学会
「情報の科学と技術」情報科学技術協会
「進化するアーカイヴ――慶應義塾大学デジタルアーカイヴ・リサーチセンター報告書(2001-2006)」慶應義塾大学デジタルアーカイヴ・リサーチセンター
「人文科学データベース研究」人文科学データベース研究刊行会
「人文科学とコンピュータシンポジウム論文集」情報処理学会
「人文学と情報処理(SCIENCE OF HUMANITY)」勉誠出版
「シンポジウム〔人文科学とデータベース〕論文集」人文系データベース協議会
「ず・ぼん――図書館とメディアの本」ポット出版
「デジタルアーカイブ」デジタルアーカイブ推進協議会
「デジタルアーカイブの構築 [日本大学文理学部の取り組み]」日本大学文理学部
「デジタルアーカイブハンドブック」函館マルチメディア推進協議会
「電子情報通信学会誌」電子情報通信学会
「日本印刷学会誌」日本印刷学会
「日本色彩学会誌」日本色彩学会
「日本写真学会誌」日本写真学会
■権利関係
「デジタルアーカイブ <権利と契約の手引き 契約文例+Q&A集>」デジタルアーカイブ推進協議会編,2003, デジタルアーカイブ推進協議会
「デジタルアーカイブ <権利問題と契約文例>」デジタルアーカイブ推進協議会編,2001, デジタルアーカイブ推進協議会
「デジタル時代の著作権基礎講座[改訂第7版]」コンピュータソフトウェア著作権協会編,2007,コンピュータソフトウェア著作権協会
「WIPOが管理する著作権及び隣接権諸条約の解説並びに著作権及び隣接権用語解説」大山幸房ほか訳,2007,著作権情報センター
2 「100冊」の選出を終えて
情報が刻々と更新されていくインターネットに対し、時間を凝縮したような本は、それを読んでいた過去の時点へと軽やかに連れて行ってくれるようだ。
過去に思いを馳せるには本の形態は実に優れている。電子ブックの台頭は、従来の本を希少価値の高い骨董品化して行く可能性もあるが、
果たして本を手にしたときの重さや香りを伴った物としての本が、懐かしくなる日はくるのだろうか。あるいは本の遺伝子を内包した電子ブックが
生まれてくるのだろうか。
江戸時代の大阪に本草学などの各資料を私設の博物館・美術館・図書館として公開していた元祖コレクターと呼ばれる
木村蒹葭堂(きむらけんかどう。1736-1802)という人がいた。知識人だけでなく一般の人も含め9万人が蒹葭堂を訪れたという。
今この一人の人物に日本型MLAの在り方を学ぶことは多い。
今回の『デジタルアーカイブの本100冊』は一般に販売されている本を選出し、ミュージアムや研究所、大学で発行されている紀要や報告書、
図録といった入手しにくい文献は少ない。しかしこのようにデジタルアーカイブに関する本を一堂に集めてみると、
デジタルアーカイブという概念は不安定ではあるものの社会的に広がりをみせ定着してきたと感じている。
また同時に日本の文化資源を管理するMLAを連携、推進するためのセンター機関「ナショナルデジタルアーカイブセンター」設立への
期待がますます高まってくる。
2010年2月25日
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